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シカの痕跡探し ~目指せ!シカ探偵~
こんにちは!山林事業部本社です。
突然ですが皆さんは、山の中にシカが生息しているかどうかを判断する方法をご存じですか?
直接シカを探せばいいのでは?と思われるかもしれませんが、シカは警戒心が強く、簡単には目撃できません。
シカを見ずに、シカが生息しているかを調べたい……!
そんなときに手掛かりとなるものが「痕跡」です。
痕跡が多い場所では、シカがたくさん生息している可能性が高いです。
今回は、「シカの痕跡探し」を以下の3つのステップに分けて紹介します。
① 糞(フン)
② 足跡
③ 食べ痕
①糞(フン)
シカがたくさんいる場所では、地面に頻繁にフンが見られます。
シカのフンは、米俵のような形です。
歩きながらフンをするため一か所にまとまらず、パラパラと散らばります。
少し似ていて紛らわしいのがウサギのフン。
シカと違って、丸みのある球状の形をしています。
また、シカとそっくりの俵状のフンをする動物にカモシカがいますが、カモシカはシカと異なり一か所にまとめてフンをします。
だいたい一度に300粒以上がまとまって落ちていれば、カモシカと考えて良さそうです。
✓ シカのフンは俵状(ただし、一か所にまとまっていればカモシカ)
✓ ウサギのフンは球状
② 足跡
下の写真はシカの足跡です。
シカの足跡は大きさ約5cm~8cm で、2本並んだ蹄(ひづめ)の跡が特徴的です。
この目立つ2本の蹄「主蹄(しゅてい)」の後ろに、「副蹄(ふくてい)」という小さな蹄がありますが、高い位置についているため地面に跡が残ることは稀です。
よく似た足跡にイノシシの足跡があります。
イノシシは副蹄が逆ハの字のように広がっており、低い位置についているため、地面に跡が残ることが多いです。
ただし、地面の状態などにより判断が難しいこともあります。
✓ シカの足跡は副蹄が主蹄の真後ろについていて、地面に残りにくい
✓ イノシシの足跡は副蹄がハの字状に広がっていて、地面に残りやすい
③ 食べ痕
シカが植物を食べた痕跡も、シカが生息していることを示すヒントになります。
シカは草や木の枝葉を食べる草食動物です。
ここでは、同じ草食動物であるウサギの食痕と比べながら紹介します。
実は、シカの上あごには歯がありません。
そのため、シカは「切る」のではなく、「ちぎる」ようにして枝葉を食べています。
食べた枝には、むしり取られたような跡が残ります。
一方、ウサギは鋭い歯で枝を噛み千切るので、刃物でスパッと切断したような食痕になります。
✓ シカの食痕は、むしり跡が残る
✓ ウサギの食痕は、刃物で切ったように鋭い
いかがでしたか?
少々難易度が高いものもありましたが、ここまで習得すれば一流のシカ探偵です。
森を訪れた際には是非、シカの痕跡を探してみてください。
林業現場のシカ対策
今回ご紹介してきたシカですが、林業の現場ではシカによる食害が悩みの種となっています。
小さな木では幹の先端が折られて、樹形が悪くなったり、枯れてしまうこともしばしば……。
成木でも、樹皮が剥かれて生育が悪くなることが少なくありません。
エフバイオスでは、シカの食害を防ぐため防護柵や忌避剤などで対策をしています。
小さな木がすくすくと育ち、やがて大きく葉を茂らせるまで、大切に見守っていきます。